Chapter3−3 三人目の祝辞

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 クリスティ・センチネルが、少し怯えた様子で、心配そうに、こちらを伺っていた。ユージは急にその場から逃げ出したくなった。  もう帰りたい。穴があったら入りたい。  待ち合わせのことを、すっかり忘れていた。 「大丈夫? なんだか凄い剣幕だったけど……会社のトラブル? あ、でもそれだったら英語で話してるわね。予定ずらしましょうか?」 「いや、いい」  ユージはベンチから立ち上がって、思考を切り替えるために頭を振った。  同棲約五年。浦添貴志。公務員。入籍。結婚。  大量に入り込んだ情報の奔流で、頭がぐちゃぐちゃになりそうだ。  ユージは、横に立つクリスティを見た。本日も見目麗しい恋人は、心配そうな顔でそろりユージの顔を覗き込んでいる。  交際三年。クリスティ・センチネル。恋人。同棲? 入籍? ──結婚?  いや、まさか、そんな……。  ユージの耳の中でタカシの声が再生された。  ──お叱りを受けるならしっかりと責任を取ったことを証明してからのほうが良いかと思いましてね。  ──ご心配せずとも、私はできる限り全力で牧ちゃんを幸せにすると約束します。  責任。ユージの肩に二文字の要石が降ってきた。 「ねえ、何かあった? 大丈夫?」 「あ、うん。問題ない」 「ほんと?」  クリスティは眉をひそめた。 「ユージ、休職していたことを隠した前科があるもの。『迷惑をかけるから言わない』はもうなしよ」 「いや、言いにくいというか、説明できないんだ。どういう状況なのか俺もわかってない。ごめん」 「そう。ならいいのだけれど」
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