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クリスティがひそめた眉を元に戻したので、二人は歩き出した。せっかくの〝会食〟が最悪の開始になりそうな予感がした。
自分で鏡を見なくてもわかるほど不細工な顔をしながら道を歩いていると、スマートフォンがポケットの中で一度だけバイブした。
「ちょっとごめん」
ディスプレイをのぞいてみると、マキからのメールだった。
『本文:
さっきは急に連絡してしまってごめんなさい。あと、貴志さんが留守にしてるって嘘をついたことも。本当は報告するときにそばにいてもらってました。私の心の準備ができてなくて。
入籍は、ちゃんとお互いに相談した結果なので、安心してね。
貴志さんが、『個人的に連絡することがあるかもしれないので、メールアドレスをユージくんに教えてあげて欲しい』と言ってくれたので、メアドを添付します。一度空メールでもいいので送ってくださいとのこと。
あと、さっき言えなかった結婚式のことなんですが。
ぜひ、ユージに来て欲しいと思ってます。
お金とか日程の問題がなければ、だけど。
あと、頼みにくいことなんだけど……。
披露宴のときに、ほんのちょっとだけ挨拶、というか、ほんの一言だけ祝辞をやってくれませんか。
祝辞って、本当は新郎新婦から二人、お世話になった人にやってもらうんだけど、
貴志さんと相談して、挨拶程度に三人目としてお話ししてもらうのはどうだろう、って、盛り上がっちゃいました。
無理にとは言わないけど、引き受けてくれたら、すごく嬉しいです。(スケジュールが合ったら)。
考えておいてね。下記は貴志さんのメアドと、式の日程です。
牧』
スマートフォンを握りつぶしそうになった。
「祝辞だと!?」
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