Chapter3−3 三人目の祝辞

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 クリスティが身じろぎした。 「今日の朝の、電話のこと?」 「あ、ああ……そのことでちょっと頭が混乱してて。だから──」 「また今度にしましょうか」 「え?」  まともに視線を合わせられなかったユージがクリスティを見ると、彼女はふっと顔をほころばせたところだった。 「今日は家に帰るわ」  ユージは心底驚いた。  正直『意気地なし』だとか、『うそつき』だとか、『ユージのばか』だとか言いながら、泣き出されるかと思っていた。 「お、怒ってないのか? これ、ドタキャンだぞ」 「お互い、事情がありますもの。それに、黙ったまま家にお邪魔して、こちらが何を話しても不機嫌な顔をされたら、私もたまったものじゃないでしょう?」 「あ、うん」 「ねえ」  クリスティがシートを移動して、外に立つユージの眼前にまで距離を詰めてきた。 「正直に言ってくれて、ありがと。無理したり、何も言わず我慢されてしまったらどうしようかと思っていたわ。成長の証ね」  クリスティは腰を上げ、ユージへ軽くキスをした。 「それじゃあ、またね」  クリスティの「出して」との言葉に、ユージは呆然としながら自動操縦(オートニマス)車から離れた。後部座席のドアが閉まり、あっという間に車は夜の道路へ滑り出していった。
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