Chapter3−3 三人目の祝辞

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「え、じゃあ、今回どうして俺に会おうと思ったんですか」 「他人に共感しないのと、自分の中に湧いた興味は別物でしょ。  僕はあなたを息子だと思って接しているわけじゃないんです。あなたもいきなり現れた男にお継父(とう)さん(づら)をされることは業腹でしょう。僕は、あなたと友人になれるかもしれないと思ったので、会ってみたまでです。  もし、あなたが牧ちゃんの幸せを妨害するような奴なら、血の繋がった息子だろうがなんだろうが、僕は徹底的にあなたに抗戦しようと思っていました。  牧ちゃんの幸せが損なわれると僕の幸せが脅かされる。僕は、僕の幸せが一番大事だし、それ以外に興味がない」  タカシは空になったワインボトルの注ぎ口を覗いて、まったく上気していない頬をあげて、笑った。 「抗戦する必要がなさそうで、よかった」
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