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まあ、女子高生がイケメンを追っかけてきゃあきゃあするのはごく普通のことだ。放課後のチャイムが鳴ると同時にどこかのカフェに駆け込む女子高生は逆に不健全だ、と今では思っている。なぜなら、青い春というのは人生で一度しかやってこない。だからこそ、それを最大限に楽しんで、思い出をたくさん作っておくべきだ。もしタイムスリップして高校生の自分に会うことができたら、私はそう説教してやりたい。
イケメン、イケメンだったに違いない。でも正直なところ、高杉くんの顔はよく覚えていない。あれだけ人気があったわけだから、イケメンじゃないわけがない。そんなことを考えながらアルバムをめくり、高杉くんを探すこと数分、やっと彼の名前を見つけることができた。イケ、メン? 目が大きく、鼻が高い。顔が小さく、背が高い。イケメンといえばイケメンなのだが、原宿辺りによくいそうな兄さんに見えなくもない。良く言えば端正、悪く言えば、背が高いだけで印象に残らない感じ。これが高杉真一か。母親と似ているはずだから、参考用にと携帯で写真を数枚撮った。
さて、顔と名前が一致したところで、謎がもうひとつ、彼のお母さんが私に何の用だ。そもそも、クラスも違うのに、どうやってうちの電話番号を手に入れただろうか。考えれば考えるほど疑問が積もっていく。やはり何かの詐欺なのか。
高杉くんと関わったことは、ほぼない。いや、三年間も同じ高校にいたのだから、何かしらの接点があったかもしれない。けど、記憶に残るほどの出来事はほとんどない。唯一、かすかに脳裏に残っているのは、とある休校日のことだけだ。
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