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心臓の音が聞こえる。
なんだ、えらいこっちゃでだったのは、私だけじゃなかったんだ。つい笑いそうになって、やっと目の前のレンズに気がついた。
これはカメラのレンズ?
なんで、とその持ち主を確認すると柔らかい笑顔のお祖父さん。
監督は本当に撮影をしていたというのか。
「お祖父様、悪趣味ですよ」
「孫の晴れ舞台を残さなかったとなればばあさんに叱られるじゃろぉ?ふぉふぉふぉふぉ」
「後で見せてくださいね」
見るの!?
「せっちゃん。一緒に見るかい?」
「けけけけ、結構です!」
高崎さんとお祖父さんは真っ赤な顔をした私を暫く笑っていた。
あとで聞いた話によると、ふと目覚めた高崎さんはリビングからクラシックミュージックが流れていたのでひっそりと様子を覗いたのらしい。そこで仮装した私とお祖父さんが踊っているのを見たので、これは面白い僕も参加したい、と急いでコスプレ。
そしていつ飛び出そうかとドアの前で待機していると、私がお祖父さんを練習代に愛の告白をしたので感激して登場したのだと言う。
恥ずかしくてしょうがないけど、ふざけ合うのはとても楽しかった。
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