家が一番好き

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そんな私でも、就職は特に問題なくできた。 ケルベロス広告代理店、庶務部所属、事務員。今年で4年目。 仕事さえ正確に終わらせれば無口だろうが愛想がなかろうが孤立してようが関係なく、部長からの信頼はあり、人に干渉されない充実だと言える日々を過ごしていた。 それが今、私、黒木せつ子26歳、人生最大の危機に直面している。 月曜日、憂鬱な気持ちで出社し、テナントビルのエレベーターに入ったら、急に停電し閉じ込められた。 それだけなら別に良かった。まだ耐えられた。 だけど、もう一人、私と一緒に閉じ込められた人がいて、そいつはあろうことか、土曜日にありのままの姿で窓を開けた私を見た会社の男、高崎進だったのだ。 どう考えたって暇な神様が私で遊んでいるとしか思えない。
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