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今日がColorを選びに行く日だというのに、深見は目に見えて落ち込んでいる。
何でも、親族との顔合わせと旅行の日取りが重なるらしく、深見は泣く泣く旅行のほうをキャンセルした。
人気のリゾートホテルは、会社の優待枠で直近の予約でも入り込むことが出来たが、キャンセル料は馬鹿にならない。
しかし、深見が嘆いているのは金銭面ではなく、汐とのプライベートの時間が削られた件のようだ。
「誠吾さんのご両親とか親戚さんの都合もあるし、仕方ないよー……」
「汐君すまない……昔から派手好きな家で祝い事が好きなんだ。元子役というのもほとんどの親族は知っているし、騒がれるとは思うがどうか気を悪くしないでくれるか」
「あ、うん。それは大丈夫、です。というか、すっごく持ち上げられてるみたいだけど、僕のほうこそがっかりさせたらごめんなさい」
十五年経った今は子役時代の愛くるしさは消え、見た目がちょっと垢抜けている普通の大学生だ。
成人はしているものの、親の庇護下でまだまだ自立しているとも言えない。
深見の話では、ホテルのバンケットホールを借りてパートナーの発表を行うというのだ。
待ち遠しい気持ちよりも粗相をしないかという心配のほうが大きい。
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