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「言ったっけ?」
「うん……。あの人と付き合ってるのに、島長君と付き合ってるの? って。無神経過ぎた。あたしだって彼氏いるのに、男友達と歩いてるだけで彼氏とか聞かれるの嫌だもん」
「あー、それ……。誠吾さんと付き合い始めたのはその後だし、別に。だからいいよ。泣かなくても」
しゃがんで泣いている石井に、突っ立っている汐。
周りは汐を穿った目で見ていることだろう。
いたたまれなくなって、汐は石井の手首を引っ張り無理矢理立たせた。
石井の涙はもう止まっていた。
「そ、そうだったんだ。めちゃくちゃ格好よかったね。天使君の彼氏さん。あたし、ここら辺のショップでバイトしてるんだけど、同性のカップルの人、よく見かけるよ。実際対応したこともあったし。前から歩いてきた二人、モデルかと思っちゃった。あ、みたいじゃなくて、ほんとの芸能人だったり……」
「違うよ。でも、そんなのよりも素敵な人だから」
汐の否定の早さに面食らっていたが、石井はすぐに笑みを浮かべた。
「引き止めてごめんね。あたしはもうちょっと離れたところの店なんだけど、ここの通り、ハイブランドばっかりなんだ。……いいなぁ。プレゼントしてもらえるの」
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