【1】出先と森

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 一人でゆっくり眠るのは久しぶりだ。  最近は狼人間(ルー・ガルー)絡みの事件で、夜も出歩くことが多かった。気が張ってとても安眠できる状態じゃなかったし、そもそもあの街は深夜でも騒がしい。風と木々の騒めき、時折フクロウの声しか聞こえないこの場所は、リフレッシュには最適かもしれない。  ……とは言っても、流石に二人が遅くまで外にいるのも心配だ。   あの二人なら大丈夫。いや、僕が心配する方が無駄だろうけど。昼に先生自身が「ここには危険な野生動物もいる」とか言っていたじゃないか。もしも襲われて、食べられてしまうなんてことがあったら…… 「……いや、先生だって狼か」  よく考えたら、先生こそ一番危険な動物だった。  まぁあの二人なら、自分の身は自分で守れるだろう。朝までには帰ってくるだろうし、それまで僕は安らかな眠りを…… 「ライカ‼︎ なに寝てんのよ‼︎ 」  窓がどんどん叩かれて、僕は思わず飛び起きる。  なんだ、置いて行った癖に叩き起こすなんて。常識はずれにも程がある。 「ラピス先生が変な男に絡まれてるの‼︎ もしかしたら狼人間(ルー・ガルー)かも……」  それを聞いた途端、僕の眠気はすっかり冷めた。  アンジュが僕を呼びに来たと言うことは、彼女ではどうにもならない事態が起きたということだ。それも狼人間(ルー・ガルー)絡みなら、僕が行かなければどうにもならない……呑気に安眠している場合ではないのだ。 「案内して。近くまで行ったら、アンジュは安全な所へ」 「……分かった。お願い」  僕達は窓から飛び出して、夜の森へと踏み込んだ。
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