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「『群れ』の連中は、かなり昔から狼人間を増やしていたんだ」
先生はちらりと外に目線をやった。
「これまで君が戦った怪物も、殆どは奴らが増やしたものなんだよ。『群れ』について分かれば、狼人間を根絶やしにすることも出来るかと思っていたんだが……向こうから接触してくれて助かった」
先生の話によると、「群れ」は全部で七人。その中には一人のリーダーと思しき存在がおり、彼が他の六人に指示を出しているらしい。
僕が狼人間狩りを始める前に、先生や編集長は何度か「群れ」のメンバーを探そうとしたことがあるそうだ。しかし手がかりは全く見つからず、辛うじて組織の概要が分かった程度。結果として、これ以上の捜査は無駄だと諦めていたとのこと。
「あいつらは普通の狼人間と違って、何かしら特別な力を持っているんだ。この前のベルベットは、目を合わせた相手を操ることが出来ただろう? あんな感じの能力を、他の仲間も持っているんだ……」
「でも、銀の弾丸は効くんでしょう? だったら今まで通り、倒すことも」
そりゃあそうだがね、と先生。
「向こうさんも知識くらいはある。銀の弾丸を喰らわないように、最大限の妨害をしてくるだろう……つまりは君が脅威だと分かったら、最優先で狙われる可能性がある訳さ」
先生は参ったような顔をして頭を掻く。
「危険なのは君だけじゃない。弾丸を提供しているアンジュの店だって同じだ。今までは私が守れる範囲だったけれど、もしも『群れ』全員が襲ってくるようなことがあれば……」
「君達は一瞬でやられる。勿論、私も含めてね」
月が黒雲の中に姿を消した。
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