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自らの意思で残ることを選んだ僕達は、何をするか迷っていた。
先生に連れて来られたのだから、てっきり僕達が何かをするんだと思っていたが。彼女は一人ふらりと出かけ、夜まで戻らないらしい。
「羽を伸ばせってことじゃないの? この前の事件で、あんたも色々あったし」
アンジュがそう呟く。
「毎月のように狼人間を倒して、おまけにあんな大きなヤマがあったでしょ。先生もあんたを労って、旅行に連れて来てくれたとか」
「だったら全額払って欲しかったなぁ……」
ぼやく僕を横目に、アンジュはいそいそと部屋の出口に向かう。
「じゃ、あたしも森に行ってこよっかなー。なんか体が疼いちゃうんだよね」
「危ないよ。危険な動物がいるって、先生が言ってたじゃないか」
「あんた、その先生を一人で送り出したんだけど? 」
「ん、それはそうだけど……」
仮にも先生は狼人間。満月の夜でなければ真の力は発揮できないが、それでも多少は戦うことができる。そこら辺の野生動物相手なら、少なくとも自分の身を守るくらいは出来ると思うのだ。
「何よ。心配なら一緒に来ればいいじゃない」
アンジュが僕の腕をぐっと掴む。
「どうせ来たんだから楽しもうよ。ついでにあたしのこと守って? 」
ここはかっこよく「俺が守ってやるよ」と答えたいところだが。
僕は身体能力でも、一度もアンジュに勝ったことがないんです。
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