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不法滞在・薬物売買
ここ大阪は関西一の都市、天下の台所と言われた名残は食い倒れとして残り美味いもんなら日本一の大阪。
笑いの本場とも言われ吉本新喜劇や劇場も多くあり日本一笑いが絶えない街、大阪。
そして治安の悪さ、犯罪遭遇率も日本一をほこる街大阪。
そんな大阪の犯罪を『増やさないため』に務めるチームが大阪城のお膝元の大阪府警本部にあったりなかったり…。
庶務課が古くなった保管書類送るはずが間違えて直近3ヶ月の物を送った物の取替えに行って帰ってきたねね。
危うく個人情報問題などと言われる所だったとホッとしていた。
もうすっかりOICの仕事が身についてきてそれが少し嫌でもいるねねがOICに戻ってくると、OICの入口で中の様子をコソコソ見ている男性がいた。
「あの…何か御用ですか?」
「うん、ちょっとね。今殿か座長おる?」
「今皆出てるんですけど、良かったら中で待ってください。」
見れば若く初と同じくらいの男性でねねは扉を開けて中に招き入れる、男性は特に緊張することもなくすんなり入って勝手知ったると行った感じで殿の席に座った。
「ここの子?」
「はい、中童子都です。まだ1ヶ月ちょっとぐらいですけど。」
「そっか、なら俺の代わりってことか。」
「あの、もしかして茶々さんです?」
「よく分かったやん!俺の代わりってなると殿にちなんだ名前?」
「はい、ねねになってます。」
「ねねとか奥さんじゃん!まぁ座長単純やからなー。」
男性は茶々と言う事とねねの経緯が分かるとが知れると明るく話してくれた。
談笑してる所に皆んながタイミング良く帰ってきた。
座「あれ?珍しい奴おるやん。」
初「茶々さん!」
カ「あー、ホンマや。」
さ「茶々さん久しぶりー!」
殿「お前なんで俺の席使っとんねん。」
久しぶりに会う茶々に皆嬉しそうだが、一際明るく跳ねた声で茶々に寄って行ったのは初だった。
それ以外のメンバーはちょっと会話するぐらいだったが初は笑顔で会話が止まらず、ねねの初めて見る姿だった。
ね「初さん凄い楽しそうですね。」
さ「茶々さんと初さんめっちゃ仲良かったもん、名前通り正に兄弟って感じ?」
ね「兄弟?」
カ「浅井三姉妹の茶々、初、江って知らんの?」
ね「あー、聞いたことあります。」
座「俺は単純に殿から取って付けたつもりやったんだけどな。」
殿「せやから、いつまで俺の席陣取ってんや。」
殿を無視して話し込む皆で相変わらず茶々はそのまま殿の席に座っている。
そしてニコニコとしたまま殿に要求をする。
茶「じゃあ俺のお願い聞いてくれます?」
殿「知らん、さっさとどけ。」
初「うわ、冷た。」
カ「お願いって仕事?茶々さん今公安っしょ?」
茶「それでちょい面倒なことになってんすわ。」
茶々は持っていた封筒から資料を広げてみんなに見せる。
みんなは自然と静かにその資料に目を向けた。
茶「韓国人がやってるマッサージ屋なんですよ。」
カ「うわー、いきなり胡散臭い。風営法違反?」
茶「それもあるんやけど名目は不法滞在。それと薬物売買。」
さ「不法滞在した上に怪しい仕事ばっか。よくやるわ。」
見せられた資料をチェックする面々とは違い、嫌そうにコーヒーを啜る殿は察しが付いているようだ。
殿「つまり公安、麻取、所轄、組対まで絡んで来るから面倒でうちにきたと。」
茶「流石殿ー♪警察ってそう言う所面倒でしょ、麻薬の方はかなり色んなルートあるみたいで余計ややこしいんすわ。」
ね「色んなルートって事は所轄の地域も多いと。」
茶「ねねちゃんも鋭いな。それとな、1回現場抑えた事あったみたいなんすけど本元のブツの隠し場所は分からんかったって事もあって、公安も躊躇しちゃって。」
初「話しは分からなくもないっすね。」
座「だとしてもやー、うちで動いていいもんか。」茶「座長も話し通すん上手いやないすか。それに初もおるから手間省ける。」
みんなでどうしようかと悩んでいた時、初が言葉強く言った。
初「いいじゃないすか、やってちゃんと証拠から何まで完璧にしちゃえば問題ないやないすか。」
茶「初ー、流石俺の弟やー。」
さ「まぁ、他じゃやんなそうやもんね。」
カ「でもブツ見つかんなかったらヤバイっすよー。」
座「そうや、真っ先に俺責められるやんけ。」
意見が割れて行くのをどうしようかと見ているねねと、ちゃっかりねねの席を陣取ってコーヒーを飲む殿。
ね「これどうなるんです?」
ねねが無の表情をしている殿に聞くと面倒くさそうにため息をついてから殿が言った。
殿「他がやらんのやったらやってええんちゃいます?前回乗り込んでまたやっとるっちゅう事は悪質って言えるやん。」
座「殿はそれでええかもそれんけど責任は俺に来んねんけど。」
殿「責任は持ってきた茶々に取らせりゃいいんすよ、何やったら俺は脅されてしゃーなしにーって言いますわ。」
さ「うわー、殿怖っ!」
カ「そのうち俺らも売られるんちゃう?」
殿の言葉に座長も「それならー。」と前向きに考え始めた。
散々に言われている茶々は初に肩を組んでそんな言い分を交わす様にニコニコとしている。肩を組まれている初はなんだか照れた雰囲気もしていた。
茶「座長そんな感じでええすか?」
座「まぁ…殿もそう言っとるしな。」
茶「それじゃ明日踏み込むんで頼みますね。」
「「「・・・・。」」」
それまでの賑やかさが嘘の様になくなりOICは静まり返った、皆茶々の言葉を聞いて動きが固まった。
一人を除いてだが。
相変わらず茶々はニコニコとしてどこか楽しそうにさえ見えた。
ね「えっ?明日って言いました?」
茶「うん明日、場所は日本橋駅と高津駅の間ね。」
さ「ちょっと茶々さん!それマジ?」
茶「うん、マジ。」
初「もしかしてそれで俺もいるとか言ってたんすか?」
茶「そう。だって今から通訳さん頼むん無理やし。」
平然と答える茶々に皆ポカンとなっている、座長に至っては「明日って事は…まず難波中央署に連絡と、後麻取もか、それと…」と人でブツブツ整理している状態だ。
殿「おい、これやと店は宗右衛門町になっとるけどええんか?」
茶「それは3ヶ月前の摘発の時っす、それから1ヶ月もせんうちにこっそり今んとこ移ってんすわ。」
カ「いやいや、殿冷静過ぎません?」
資料を見ていた殿は皆と違い、もう摘発の為の確認になっていて流石にカツオがツッコんでいた。
殿「こいつはそう言うやつや。やらざらるを得ん状態にして来たんやろ?」
茶「よく分かってますねー。」
殿「お前にどんだけ振り回された思てんや。」
茶「俺も若かったってことですやん。」
話しをしながらも資料に目を通す殿と息の合った会話をする茶々を見て、コンビ組んでただけあるとねねは密かに感心していた。
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