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24 できればこんな形での再会はしたくなかったが
それは、かつて、この数百年の間、何度も、何度も見た夢。
だけど、その夢を見ながらも、意識の向こう側では、これは現実にあったことだと、己の脳内に囁く小声が聞こえる。
物心ついてはじめて目にしたのは、どこまでも深い宇宙の闇のいろ。
いつか、緑の星に辿り着くのだと、期待と焦燥に心を満たして過ごした幼き時代。
そしてそれが現実になったあの日、船の仲間達と喜びを爆発させて涙し抱き合ったこと。
いざ着陸してみれば、そこは赤茶けた大地でしかなかったけれど、落胆はなかった。
かえって、ここを自分たちの理想郷にするのだと、心は燃えた。
そして、それから、開拓に励んだ長い日々。
……いきなり景色は赤く反転する。
銃声と怒号の中、大地を燃やす炎。
地表を染める仲間の血。空に漂う不吉な色の黒煙。
気が付けば、見渡す光景は、まばゆいばかりの緑に変わる。
だが、自分の掌に目をやれば、それは禍々しいまでに赤黒い血糊に汚れているのだ。
だが、その手を誰かがそっと握った。
そしてそのまま腕を強く引かれ、たくましいその身体に抱き寄せられる。
見上げた「彼」の瞳は、熱っぽくも、あの宇宙のいろのように暗く淀んでいた。
たぶん自分の目も同じいろをしているのだろうと、その熱に抱かれつつ、溺れつつ、思う。
「愛しているわ、アンドレイ」
その名を叫びながらも、何度も、何度も思う……。
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