24 できればこんな形での再会はしたくなかったが

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 ゲイリーはリェムに連れられて入った部屋の中に、ベッドの上のニーアの姿を認めるや、思わず言葉を失った。その美しい顔の皮膚はところところが焼け焦げ、身体の戦闘着(スーツ)の上にぐるぐると巻かれた包帯には、血液がどす黒く滲んだ箇所も見受けられる。そして、手足は太いベルトによって寝台の四隅に、きつく拘束されている。あの卓越した身体能力を考えれば正しい処置なのであろうが、ゲイリーにはそのニーアの姿は痛々しい意外の何ものでもなかった。  そして、彼女がこんな姿になったのは、自分の裏切りあってこそだという事実が、彼の心を重くする。  ニーアはゲイリーに弱々しく微笑んだ。 「ゲイリー……」 「ニーア、俺は、その……」 「私を裏切ったことに、後ろめたさを感じる必要は無いわ、ゲイリー」 「ニーア……」  ニーアの声はどこまでも穏やかだ。その穏やかさがかえってゲイリーの心を痛ませる。するとニーアの紫色の瞳が微かに揺れた。 「私も、沢山の人達や、あなたのことを、欺こうとしてきたのだから、同じなのよ」 「……欺く?」 「どういうことかな、ニーア・アンダーソン」
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