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2人の再会をそれまで黙って見守っていたリェムが、口を開いた。そして彼は慎重に言葉を選びながらも、単刀直入にニーアを問いただした。
「それは、君がこの400年にわたって、地球の中央図書管理局のホストコンピュータをハックしていた疑惑と、なにか関わりがあるのかね」
途端に、室内に緊張が走る。だが、ニーアは穏やかな微笑みを崩さぬまま頷き呟いた。それは、拍子が抜けるほどに、あっさりと。
「……そうよ」
「……ニーア……」
ゲイリーは唖然として再び言葉を失った。彼女がここまで容易に、重大なハック疑惑を認めるとは思ってもいなかったからだ。代わりに身を乗り出して鋭く語を継いだのはリェムだ。
「ニーア、一体、君は何が目的で、中央図書管理局のホストコンピュータ、それも何故、「偉大なる開拓者号」についてのみのデータを狙い、ハックしたんだ?」
ニーアが目を瞑る。彼女は暫く、遠い日々を思いを馳せるような顔つきで、瞼を閉じていた。
そして彼女は、密やかな声でこう告げた。
「私たちの狙いは、歴史の改竄よ」
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