25 ニーアの告白

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「だけど、そんな僕だが、この星の開拓が散々たる結果に終わったと認めるには、死んでいった仲間に申し訳が立たないんだ。僕たちの反乱が、単なる血で血を洗う騒乱と後世に記憶されるのは、耐えがたいことなんだ。それだけは、僕らの矜持に賭けて許せないんだ……だから、僕は、機械手術を受けて、自分の身体をアンドロイドにしてでも、それを阻止したい。例えそれが、歴史の改竄と言われようとも……」 「アンドレイ……」 「……ニーア、君をこの愚行に巻き込んでしまって、本当にすまなかった。近日中に、この星から最後の脱出船(シップ)がでると聞いている。総員、僕らの仲間も含めて、その船に乗るとの意志を表明している。だけど、僕はこの星に残る。このノヴァ・ゼナリャに残って、未来に書かれるであろう歴史を監視し、修正、もしくは削除し続ける。アンドロイドとして、寿命の限り……。だからニーア、君はその船に乗って、こんな馬鹿な僕から自由になってくれ」  アンドレイは暗く淀んだ目で、ニーアを見つめ、笑った。  だがニーアは頷けなかった。かわりに、ニーアは大きく息を吐くと、覚悟を決めて、アンドレイに答えた。 「私、この星に残るわよ」 「……え?」 「……私、あなたに付き合うわよ。私も機械手術を受けて、何百年か分からないけど、馬鹿なあなたと一緒にいるわ。私は、この書架にある本をずっと読んで暮らせて、その仕事があるなら、退屈しないわ」  ニーアはアンドレイの両肩に手を掛けると、思わぬ彼女の答えに涙をこぼすアンドレイを抱きかかえ、耳元で囁いた。 「……私も自分を罪人と思ってるのよ、あなたと同じく……」
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