25 ニーアの告白

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 ◇◇◇ 「……こうして私たちは、アンドロイドになったの。そうして私たちは、最後の船を見送ったの。ふたりきりになってから、私は日々、特殊に機械化された身体で朗読を行っては、本を電子化したわ。一方、アンドレイは、労苦のすえに、地球の中央図書管理局のホストコンピュータのハッキングに成功したの。そして、全宇宙の「偉大なる開拓者(グレート・パイオニア)号」に関する本を監視し、もし不都合な事実が書かれた電子書籍があれば、すぐに削除、改竄する日々を過ごした」 「……だけど、ひとつ、当てが外れたの。術後の経過が悪くてね、アンドレイは、それから9年後に死んでしまったのよ。そう、こんな言葉を遺してね……」  ……ニーア、どうかお願いだ。僕の仕事を引き継いでくれ。誰かかわりの人間が、このノヴァ・ゼナリャに降り立つその日まで、ここを、僕たちの歴史を護ってくれ! ……残酷だと分かっていて、こんなことを頼む僕を許してくれ……!
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