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26 その肌から伝わる君の孤独
ニーアの長い長い告白を聞き終わってから半日後。
リェムとゲイリーは、再び、ニーアが監禁された居室にいた。リェムは、険しい表情でニーアの前に立っていた。それもそのはずで、彼は地球政府の上層部に、ことの顛末……つまりニーアの自供を報告し終わって、通信室から戻ってきたばかりであったからだ。
「地球政府のお偉方は、すぐにでも、君を地球に送還せよとのことだ」
リェムの通告に、ニーアはそっと紫色の瞳を翳らせると、ぼそりと呟いた。
「私は……どうなるのでしょう」
「それは分からん。人権に則って身分を扱うよう、進言はしておいたが」
「……そう、それはどうも」
ニーアは目を閉じながらリェムに軽く頭を下げて見せた。それから彼女はしばらくの間そのまま目を瞑っていたが、ゆっくり瞼を開くと、こうリェムに向かって囁いた。
「少し、時間をくれないかしら……400年以上の時を過ごしたあの書架に、別れを告げたいの」
リェムが眉を顰める。だが、それを見てゲイリーが口を挟んだ。
「おい、リェム少佐、それ位は良いだろう? 彼女にとっては、永い時を過ごした思い出ある場所なんだ。そこから離れろと彼女に言うのなら」
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