26 その肌から伝わる君の孤独

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 ゲイリーのその言に、リェムは暫し栗色の髪を傾け思案に暮れていた。やがて、仕方ないな、とばかりに、やや大げさに肩をすくめると口を開いた。 「分かった、猶予をやろう。今から君を、この森の中で解放する。……ただし時間は24時間だ。明日の朝を過ぎても帰還しなかった場合は、我々は実力行使に出る」  ニーアは即座に頷く。そして、弱々しく微笑みながらも、言葉を継いだ。 「構わないわ……あと、ひとつお願いが……」 「なんだ」 「ゲイリーに一緒に来て欲しいの」 「……よかろう。サンダース、彼女の監視役を君に任じる」  ゲイリーは自分の名が出てきたこと、そしてリェムがあっさりとニーアの望みを許可したことに、些か意外な思いを抱かずにはいられず、一瞬、虚を突かれたような顔つきになった。……が、拒否はしなかった。  ……彼女の願いを聞ける限りは、聞いてやろう。俺が、できる限りのことなら。  ゲイリーはそう腹を括り、黙ってニーアとリェムに向かって頷いた。
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