5 全くもって君は天使なんかじゃない

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 次の瞬間、ゲイリーは震えたままの手で、ニーアの身体を強く突き飛ばした。  そして、本棚の隙間の床に彼女を押し倒すと、その身の上に跨がった。ニーアの口から悲鳴が上がる。だが、それに構わず、ゲイリーは欲望の赴くまま、彼女のワンピースの胸元を掴むと、力のままその銀の布地を引きちぎった。 「何をするの……! やめ、て……!」 「騙そうとしやがって……! 君が生身の女だということを確かめてやる……!」  耐えがたい頭痛の中、ゲイリーは己が何をしてるかも、もはや、はっきりと分からぬまま、抵抗するニーアを床に押さえつけ、ワンピースの布地を執拗に破り捨てる。程なくして、ニーアの形の良い乳房が露わになる。  ゲイリーは乳房に手を伸ばしつつ、勝ち誇ったように大声で嗤った。 「ほら、やっぱり、生身の人間じゃないか……!」  だが、ゲイリーの狼藉もそこまでであった。  次の瞬間、今度は、ニーアがゲイリーを、ものすごい力で突き飛ばしたのだ。ゲイリーは本棚に激しく衝突し、身体を床に転がせる。その隙にニーアは立ち上がると、そのままの姿勢で、助走も付けず垂直に跳躍した。そして、その身体はゲイリーの頭の遥か彼方の、ガラスドームの天井まで浮遊した。  さらにニーアは身を空中で反転させ、ガラスドームの天井を蹴ったと思うと、その反動で急降下し、転がったままのゲイリーに強烈な蹴りを食らわす。それも一度でなく、二度、三度と。  ゲイリーは溜らず叫んだ。 「うぐっ……!」
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