7 四百年来の孤独な作業

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「君は誰に改造され、そして誰の命で、こんな退屈な作業を400年も繰り返しているのかい?」  ニーアの目はきらりと輝き、次いで陰りを帯びた。数瞬の沈黙の後、彼女はちいさく呟いた。やや愁いを秘めた声音で。 「……私が愛した人よ」 「「偉大なる開拓者(グレート・パイオニア)号」のお仲間か。なるほどな。……ご苦労なこった」  ゲイリーはニーアの答えを受け、皮肉めいた口調で語を放った。すると、ニーアはゲイリーの顔を真っ正面から見つめ返し、こう言ってのけ、ゲイリーを思わずのけぞらせた。 「なに、他人事みたいなことを言ってるのよ。この仕事を引き継ぐのは、ゲイリー、あなたよ」 「……なん、だって?」 「当たり前よ。……私はずっと、この仕事を引き継ぐ人を、待ってたの、400年。そこに、あなたがこの星に現われたんだから」  ゲイリーは絶句した。
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