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9 全くもって天晴れな君の勇姿
「どうするつもりなんだ……」
ゲイリーは落ちつかぬ気持ちのまま、ガラスドームから見える空を睨み付ける。レーダーに映ったこのガラスドームを、捜索機が見逃すとは思わなかった。ここが鬱蒼とした木々に囲まれた森の奥でなければ、すぐにでも着陸しこの建物の探索にかかるところであろうが、さすがにそれは無理と判断して、ひとまず飛び去ったのであろう。とすると、奴らが出してくるのは……。
そこまでゲイリーが考えたところで、彼の耳に微かな駆動音が聞こえてきた。その音でゲイリーは察した。
「無人小型索敵機を繰り出しやがったか……」
やがて、そのゲイリーの予想を裏付けるように、駆動音は次第に大きくなり、ガラスドームの上に無人小型索敵機が姿を現した。その通称通り、黒い塗装と、長い針のようなレーザ砲が特徴の無人飛行機だ。それも、一機ではなく、三機。いや、目視できるのがそれだけで、もっと押し寄せてきているのかもしれない。
無人小型索敵機は、それぞれ、ばらばらにガラスドームの周囲を飛び回っている。まずは搭載されたカメラとレーダーを使っての様子見といったところだろうか。
……そこに、突然、閃光が走った。思わず、ゲイリーは両手で目を庇いながらも、そのひかりが降ってきた、ガラスドームの天頂を見上げた。すると驚くべきことに、そこには人影があった。それは亜麻色の長い髪の……。
「ニーア!」
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