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ゲイリーは叫んだ。まさにその人影は、さきほど書架の向こうに姿を消したニーアであった。彼女はいつもの銀色のワンピース姿ではなく、中世の騎士の装甲にも似た漆黒の戦闘着に身を包み、ガラスドームの上に立っている。そしてその両肩に装着されたふたつの筒のようなものは……なんであろうか。ゲイリーは必死に目をこらして、三機の無人小型索敵機と対峙するニーアを見やった。すると、再び閃光、そして爆発音が、ガラスドーム内を包む。
ゲイリーは状況を把握した。閃光は、ニーアの両肩の筒から発せられており、そして、爆発音は、ニーアの放った閃光が命中し、ばらばらと破片を宙に散らす無人小型索敵機のものだった。……すると、ニーアが背負っているのは対空砲だろうか。そう思う間もなく、ニーアが高く跳躍した。その足先を新たな閃光が掠める。今度は、敵が、ニーアを狙って撃ってきたのだった。それにまた、ニーアが応戦する。
彼女はガラスドームの上を跳ねながら、今や二機になった無人小型索敵機の攻撃を躱す。跳躍する度にその亜麻色に長い髪は軽やかに揺れ、レーザー砲のひかりに反射してきらきらと光り輝く。
それはゲイリーの目には、遠い異国の優雅な舞踊のようにすら映った。だが、無人小型索敵機の稼働音はいよいよ猛々しく響き渡り、ニーアを繰り返し狙い撃つ。その光景に、ゲイリーは、今、目の当たりにしているのは、激しい戦闘以外の何ものでも無いと思い知らされるのだ。
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