10 重大な軍議はそ知らぬうちに行われている

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10 重大な軍議はそ知らぬうちに行われている

 明らかに地球上ではない緑の森のなかに、突如出現した巨大なガラスドーム。  その上を飛び回る複数の無人小型索敵機(ミツバチ)が、一機、また一機と撃墜されていく光景。  それらに鉄槌を下すは、漆黒の戦闘着(スーツ)に身を包んだ少女。  そして少女は、亜麻色の長い髪を悠然と振り乱しながら、的確かつ素早い攻撃で、無人小型索敵機(ミツバチ)を全滅させてゆく。 「超人的な跳躍だな……あの少女は人間ではないな」 「うむ、見た目は人間そのものだが……」 「あの身体能力は……アンドロイドで間違いないだろう」  会議室の全面に設置されたモニターに映し出される映像を見ながら、地球政府軍の幹部たちは、口々に唸った。  やがて、大写しになった少女が自らの背中から槍のような武器を繰り出すと、それを無人小型索敵機(ミツバチ)の制御部分に突き刺す。  その様子に、照明を落とした会議室の各所からちいさな呟きが漏れる。 「無人小型索敵機(ミツバチ)の構造をよく把握しているからこその攻撃だ……」 「敵ながら、まったくもって見事としか云いようのないやり口だな」  ……次の瞬間、大きな衝撃音とともに画面が乱れると、ぶつり、と映像が途切れた。モニターは黒い闇に沈む。そして室内に灯が点る。そして、幹部たちの興奮の囁きが静まったタイミングを見て、第6星域軍のリェム少佐が声を放った。
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