10 重大な軍議はそ知らぬうちに行われている

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「うむ……ならば、惑星ノヴァ・ゼナリャにも早急に探索の手を伸ばす必要があるな」 「すぐにでも、また軍を派遣せねば。今度は救援機などではなく、本格的な軍艦をだ」  ……やれやれ、また俺に出番が回ってくるのか。リェムは幹部たちの囁きを耳にしながら心の中で思わずぼやいた。  第6星域などという、有人惑星もほぼない、地球からすれば宇宙の辺境に過ぎぬところで、のんびりと軍務を行おうと思っていたのに……どうやら、アテが外れたな。リェムは軍人にあるまじき考えを頭の中で巡らせる。    ……久々の地球だというのに、どうやら、お偉い方は俺に暇を与える気はなさそうだ。ああ、地球に帰ってきたからには、抱きたい女が、あちこちにいたのだがな。  そうして、リェムは議場の誰にも気づかれぬよう、僅かにそっ、と肩をすくめるのであった。
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