15 焔のなかに消ゆ

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 軍艦からの砲撃は続く。レーザー砲のひかりは容赦なく炸裂し、ガラスドームを執拗に狙う。だが、ニーアにレーザー砲は当たらない。ニーアは、前の戦闘時と同じように、その長い髪を優雅に揺らしながら、ガラスドームのうえで跳躍を続けては対空砲で応戦する。 「……あの少女か、「偉大なる開拓者(グレート・パイオニア)号」の生き残り、というのは」  リェムは艦橋のモニターのなかにニーアを見いだしつつ、呟いた。400年来の時を生きる、元人間のアンドロイド。リェムはその勇姿に見とれながらも、鋭く砲手長に指示を飛ばす。 「いいか、絶対に彼女に直撃させるなよ。生け捕るようにと地球のお偉い方からの命令だからな」  それを聞いて、砲手長がリェムに苦言を申し立てる。 「司令、そう言いましても、あちらからも撃ってきますから、このままですと当艦も被弾しかねません……!」  その声にリェムは唇に薄い笑いを浮かべた。  ……よし、作戦通りだ。そろそろ頃合いだろう。  リェムは頷くと、短くオペレーターに命じた。 「……奴らを出せ」  ゲイリーは森の陰から、固唾をのんでニーアの戦闘を見守っていた。慌ただしく頭を回転させ、自分ができることは何かを考えもしたが、彼は先日と同じく彼女を、ただ見つめているしか術がない。すると、急に軍艦の砲撃がぴたり、と止った。釣られて動きを止めた彼女の亜麻色の長い髪を、どこか禍々しい朝の陽が照らす。  ……すると軍艦のいくつかのハッチが、ゆっくりと開いた。そしてそこから、何人かの人間が空を切ってガラスドームの上に降下し、ニーアの周りを囲む。……いやあれは、あの余りにスムーズな降下の様子を見るに、人間ではなく……。 「戦闘用アンドロイド(バーサーカー)か……?!」  戦闘用アンドロイド(バーサーカー)。それは、戦闘のためだけに能力が特化された最新型のアンドロイドである。まずいな、とゲイリーは思った。彼らはニーアのように元人間でもない純粋な機械であり、よってニーアより知能は劣るであろうが、代わりに感情も持たず、ただ目の前の敵を倒すだけのためにプログラミングされた、いわば特殊兵器である。それら数体を相手に、果たして旧型のアンドロイドであるニーアが敵うだろうか。
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