17 俺が何したっていうんだ

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 夜の街を白い閃光が切裂いたかと思うと、ゲイリーの足元のアスファルトを鋭く抉る。我に返ったゲイリーが慌てて街灯に照らされた足元を見てみれば、そこには、レーザー銃の銃痕が煙を上げていた。そして、驚いている暇も無く、第2の銃撃がゲイリーを襲う。  ゲイリーは自分が何者かの標的になってることに漸く気づき、反射的に身を倒した。しかし、また閃光が走り、道に倒れたゲイリーの頬を第3の銃撃が掠めていく。 「……うっ!」  微かに傷ついた頬から、僅かだが、血が噴き出す。  ゲイリーは傷口を押さえながら、なんとか半身を起こすと、這いずるように近くの路地に近づき、その仄暗い小径に身を転がり込ませた。その足元を、さらに立て続けに2発・3発と閃光が襲う。ゲイリーは路傍の水たまりに半ば身を浸しながら、身をかがめ、視線だけを銃撃が放たれた方向に投げた。相手はどうやら、通り向かいのビルの2階の一室から銃口をゲイリーに傾けているようである。だが、街灯と月明かりのみが照らす、夜の街のなかでは、その相手をこの距離から見極めるのは、不可能に近い。 「……畜生、何を俺がやったって言うんだ!」  ゲイリーは混乱しながらも、低くした姿勢は変えぬまま、路地の奥に身を這わせた。そして、びたりと身体をそそり立つアパートメントの壁に沿わせる。そして、暫くゲイリーはその場に息を潜め、様子を窺った。
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