20 俺としたことが、酒も飲まずに調べ物に励んでる

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 ゲイリーが、男たちに半ば小突かれて図書館の外に転がり出てみれば、そこにいたのは、果たして、地球政府軍第6星域軍のレフ・リェム少佐その人であった。リェムが人の悪い笑いを浮かべながらゲイリーに語りかける。 「すまなかったな、サンダース」 「すまないも何も、昨日の今日じゃねえか。あんたと別れたのは」 「そうだったな。……だが、サンダース。昨日別れてから我々は君をずっとマークさせてもらっていた」  そのリェムのあっけらかんとした悪気のない告白に、ゲイリーは思わず空を仰ぐ。そして、リェムを睨み付け呟いた。 「……この悪党が……」  だがリェムは臆する様子もない。薄い笑いを唇に変わらず浮かべたままだ。 「悪かったな、サンダース。だが、君も我々を欺いたのではないか?」 「俺が、あんたらを欺いた、だと?」 「そうだ、サンダース」  そう言いながらリェムはゆっくりとゲイリーのほうに歩を進め、その身をぴたり、と寄せてきた。眩しい昼のひかりがその栗色の髪を照らす。そしてゲイリーの耳元にて、小さな、だが、街の喧騒に負けぬ厳しい口調で問いかける。 「……ゲイリー・サンダース、「偉大なる開拓者(グレート・パイオニア)号」の歴史について、何を知っているんだ? 君は、惑星ノヴァ・ゼナリャで何を見た?」
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