22 どいつもこいつも俺を騙しやがって

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「だけど……あなたがいない日々がまた長く続くと、寂しくて……私、耐えられなかった……ひとりでいることに……だから、愛してしまったのよ、スチュアートを……。そうしたら、だんだんあなたが憎くなって……いなくなれば良いのにと思ってしまって……」  そして、サリーはゲイリーの顔から視線を僅かに逸らすと、言葉を爆ぜさせた。 「あなたの食事とトランクに、麻薬を入れたのは、私よ……」 「……!」  ゲイリーは後頭部を殴られたかのような衝撃に、息を詰まらせた。同時に、彼の中でなにかが弾け跳び、次の瞬間、彼はサリーの身体に身を躍らせた。 「いやあぁ! 来ないで!」 「この売女!」  我を忘れて躍りかかるゲイリーの頬に、サリーが放った閃光が掠める。立続けに銃声が木霊する。  だが、それはゲイリーの身体には当たらず、気が付いたときは、ゲイリーはサリーを壁際に追い詰めていた。サリーの瞳が恐怖に歪み、彼女の手から銃が力無く転げ落ちる。すかさず転げ落ちた銃をゲイリーは掴むと、倒れているスチュアートに駆け寄っていこうとするサリーの背に銃口を向け、引金に手を掛けた。
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