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スマホは正直3
嘘つき。
私、何度も相談したよね。
大丈夫だよって、大変だったねって、なぐさめてくれたよね。
最低、嘘つき。嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき。
嘘つきは泥棒の始まりだなんて、よく言えたね。
友人のスマホに入っていたメモ帳を見てしまい、私は頭がわきたつような怒りに満ちていた。
言葉をぶつけるほど、目の前で、彼女は萎縮していく。
私が悲しんで、悩んで、憔悴しているのを見て楽しかった?
面白かった?次は何をしようって、ずっと悪巧みしていたんだ。
全然気づかなかった、私ほら、能天気だし。
友人は気まずそうに「違う・・・・・・違う・・・・・・」と、小さい声で繰り返す。
何が違うの、違うことなんかなにもないでしょう。
ペットが飼えて良いなって、うらやましがっていたくせに。
嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき。
みんな嘘だったんだね。
違う、違うって・・・・・それしか、言葉を知らないの?
汗がすごいよ、ハンカチで拭いたら?貸してあげようか?
ああ、そっか。嫌だよね。
ごめんね、私みたいな卑しい奴から借りたくないわよね。
生きていることが恥だとか、本音がわかって、びっくりしちゃった。
そんなに消えてほしかった?
私はいないほうがよかった?私が嫌い?どうして嫌い?
理由を教えて。
嫌うぐらいなら、それなりの理由があるんでしょう?
追い詰める私に対し、友人は背中を丸め、絞り出すように言った。
みんなやってるし、なんとなくだった、と。
ああ、と私は目を伏せ、友人に向かって、こう言った。
嘘つきはお前だ、と。
慰めるふりをして、追い詰めていたんだから。
友人は無言のまま、しくしくと泣き出した。
片手に持ったスマホには、待ち受けにしようかとおそろいにした、うさぎのイラストが笑っている。
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