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今朝は昨晩からの雨が続いていて、カーテンを開いても暗い空しか見えない。光樹は子ども用の椅子に両足をばたつかせてカタカタと音をたてている。
「こう、またこぼしてるよー」
私は光樹に駆け寄る。ナポリタンをお子さまフォークで口に運ぶ光樹は机に幾筋ものパスタを溢している。光樹は口もとの汚れを気にせずに食べ続けている。光樹はあまり泣かない。それは産まれた頃からで、私は夜泣きにそこまで負担を感じることがなかった。私はありがたくも拍子抜けしてしまった。それは夫も同じようで、夫としては、働きながらも夜泣きをあやしてくれる覚悟でいたようで、それがそこまで必要ないとなると、光樹は優しい子なんだなぁ、と一気に緩んでしまった。夫にとって光樹はすでに手のかからない子ども、という認識があるようで、昔感じた子育てへの意欲が薄れてしまっている。もちろん光樹をかわいがってくれているが、あまり協力的とは言えない。
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