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大臣たちが天幕の外に出て行ったあと、
騎士がやってきて、村長に赤薔薇を摘める村人全てを
赤薔薇の森の入り口に集めるように告げた。
村長は項垂れて、天幕の中にいる村人達に
「赤薔薇を摘める者は相方と共にワシと一緒に来てくれ」
と言った。
普通、赤薔薇を摘みに行くのは全員では行かない。
赤薔薇の森は魔女の血が流れている。
その血がどのように襲いかかるのか分からないので
全滅をするのを防ぐためだ。
この天幕に集められたのは、赤薔薇を摘める者達とその相方
全員だった。
全員ノロノロと天幕から出てきた。
そして赤薔薇の森の入り口に向かった。
赤薔薇の森の入り口は木々が鬱蒼と茂っていた。
森の境は、普通の森と変わらないという。
だが、その木々を抜けると赤薔薇の森は
赤い薔薇一面に覆われていて、魔女の赤い血が地面を
覆っているのだ。
それをトポは知っている。
トポ自身は赤薔薇の森の入り口の内側にいるだけだが、
相方の親父の目を通して知っている。
そう、赤薔薇を摘みに行くもの達の
相方たちは、摘みに行く者が目が見えなければ
代わりに目が見えなくなる。
その代わり、摘みに行く者の見ている者が見える。
片足が無い物が赤薔薇を摘みに行く者ならば
相方が片足が使えなくなる。
だけど、摘みに行くものが踏みしめている
足の感覚を知っている。
そうして赤薔薇は摘まれているのだ。
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