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その後は父親もトポも黙々と
赤薔薇の森の入口へと歩いた。
「おいトポ、どうした。
急に止まって」
「ああごめんごめん、親父。
なんか赤薔薇の森の入り口に
すごい豪華で大きなテントがあるんだ。
大勢の兵士や馬がいるんだよ」
「そりゃぁトポ。この国の王子様が
いらっしゃっているんだ。
お供が大勢いても当然だろ。
それにテントじゃなくて天幕と言うんだ」
「へぇ、そうなんだ。
親父は昔は目が見えていたもんな。
でも、どこでそんなことを知ったんだい」
「そりゃぁ、俺は・・・いやそんなことは
お前は知らなくていい。
それより、村長や村人達がどこにいるか
分からないか」
トポは途方に暮れて
「分からないよ。そうだ、天幕を守っている
兵隊さんに聞いてみよう」
「ば、ばか。天幕にはなぁ。お偉いさんがいるんだ。
その辺の兵隊に聞けないか」
「なんだかみんな忙しそうで、
一番暇そうなのが天幕の入り口の側にいる
兵隊さんなんだよ。
とりあえず行ってみよう」
トポは無邪気にそう言って
両目の見えない父親がついて来れるくらいの
早足で天幕へと近づいた。
すると
「何者だ!ここは王子がおわす天幕と知っての
狼藉かっ」
天幕を守る兵隊は、トポ達に槍の先を向けるのだった。
「あの、あたいじゃなくてあたし達・・・」
「どうした?何を騒いでいる」
そう言って天幕から出てきたのは王子だった。
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