7人が本棚に入れています
本棚に追加
「トポ、トポ」
天幕の奥からマポレーナの声がする。
「マポレーナ、あたいがそちらへ行くから
無理しないで」
マポレーナは片足が少し悪い。
それを気遣ってトポはそう言ったのだが、
当のマポレーナは気にする素振りも見せずに
天幕の入り口の側にいるトポの側にやってきた。
「トポ、外へ行こう。ここは暑いから」
「うん、わかった」
トポは天幕のすぐ側に二人が座れる位の岩が
あるのを見つけた。
「マポレーナ、あの岩に座ろう」
「そうね」
トポとマポレーナは少し歩いて
岩に座った。
二人は少しの間黙っていた。
「ね、トポ。トポはあの王子様をどう思う?」
トポは戸惑った。
「どう思うも、あってすぐの人じゃなくて方だし
そりゃぁとても綺麗でいい声をしているけれど・・・」
「王子様は赤薔薇の魔女を退治しに来たんですって」
「うん。その話はあたいも親父から聞いた。
だけどどうやって倒すの?
赤薔薇の魔女はそりゃぁ毒を垂れ流すよ。
でも、あたい達はそれを糧に咲いている赤薔薇を
採って生活しているんだ」
するとマポレーナは
「そうね。薔薇は、赤薔薇の森をでるまでは生花だけれど
出た瞬間に鉱石になるわ。それは綺麗な宝石になるのよね。
私達はそれを国に納めて賃金をもらって生活しているのよね」
「マポレーナ、今さら何をいいたいんだい?]
トポは戸惑ってマポレーナに尋ねた。
最初のコメントを投稿しよう!