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マポレーナは三つ編みをした長い髪を撫でながら
それは自分の心を撫でるようにトポは感じた
「あのね、トポ。戦争が始まるかも知れないんですって」
「え?」
「ああ、ごめんねトポ。そういう噂よ。
それで国は赤薔薇の毒をなんとか森から出せないか
調べているらしいのよ」
「それは無理だよ。毒も森の外を出ると
ただの水になってしまう」
「だからよ。赤薔薇の魔女を直接起こして
毒について聞き出そうとしているらしいわ」
「それでどうして王子様がこんな所へやってくるんだい?」
「それは王子様が白薔薇の魔女の子孫だからよ。
王子様が触れた白薔薇には特殊な魔力があるんですって」
「特殊な魔力?」
「そう、赤薔薇の魔女の垂れ流している血の毒を
解毒させる作用があるそうよ」
「だったらなんで、国はあたい達にその白薔薇を
配ってくれないんだろう。それがあればあたい達は・・・」
「トポ、あくまでも噂よ噂。・・・ごめんね。なんか
大勢の兵隊達や王子様がこられて混乱したみたい。
今までの話は内緒ね」
「う、うん」
その後、二人は村人達が集まった天幕から
呼びに来られるまで他愛のない話をしていた。
しかしトポはマポレーナが話した事に
胸騒ぎを覚えたのだが、
たかが辺鄙な村の娘に国のような大きな存在が
何かしようとしていることについて
どうすればいいのか皆目分からなかった。
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