むかしむかしの始まりの

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むかしむかしの始まりの

昔々その昔。 ある国に偉大なる魔女が二人いました。 二人は、一人は赤い薔薇を愛し、赤薔薇の魔女と呼ばれ。 もう一人は白い薔薇を愛し、白薔薇の魔女と呼ばれました。 その二人がある時、一人の王子様に恋をしました。 王子様は白薔薇の魔女を愛し二人は幸せに結婚しました。 では赤薔薇の魔女は? 彼女は悲しみのあまり森の奥深くへと奥深くへと 入り戻っては来ませんでした。 しかし、彼女が森の中へ入ると同時に、 森に変事が起き始めました。 森の木々が黒く変色し、森のある場所が黒い闇へと 包まれたのです。 それは、王子に選ばれなかった赤薔薇の魔女が 悲しみのあまり森の奥深い洞窟の中で 自らの胸に王子の剣を突き立て、 死ぬこともできずに胸から紅い血を流しながら 悲しみ続けているのが原因でした。 原因を突き止めた白薔薇の魔女は すぐさま森に結界を張り、闇が国を覆うのを 防ぎました。 しかし、赤薔薇の魔女の赤い血はとめどめなく流れ出し 周囲一面を赤い薔薇へと変えてゆくのでした。 白薔薇の魔女はいいました。 「私が生きている間は食い止める事ができるでしょう。 ですが私の死後、あの闇の森へ入って行き、 赤薔薇の魔女の血でできた薔薇を摘み取る者が 必要です」 そう言って白薔薇の魔女はその者達を指名しました。 そしてそれは数百年も続いているのでした。 そしてその森は「赤薔薇の森」と呼ばれました。
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