122人が本棚に入れています
本棚に追加
「いや、羽住の言いたいことはもちろんわかるよ。でも俺はこういう自分が恥ずかしいと思ってないし、だいたい羽住が誰かにバラすとか全然疑ってないから。問題ないんだ」
堂々とした台詞に、郁は思わず目を見開いた。きちんと危険性も承知の上で、構わないということなのか。
彼にしても、誰に知られてもいいとは思ってもいないだろう。それでも、自分のことは本当に信頼してくれているのだと伝わる。
彼が郁を「好きだ」というのも、冗談ではあり得ない。
「……好き、だったよ。でも、もう終わった、から」
訥々と己に言い聞かせるような郁の言葉に、大雅は気遣わし気に返して来た。
「先生は羽住の気持ち知らなかったのか?」
「うん。言ったことないし」
「そうか」
彼は、八木についてはそれ以上触れようとはしない。郁にしても、完全に整理がついているわけでもないので、正直助かった。
「羽住。勢いで告っちゃったけど、俺ただのトモダチでいいんだ。……だから余計なこと考えずに、これからも一緒に遊ぼう」
大雅が軽い調子で持ち掛けて来た誘いに、郁も深く考えずに頷いた。
友人としての彼には何の不満もないので躊躇うこともない。
最初のコメントを投稿しよう!