トモダチ、以上?

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「大雅、今まで誰と一緒だった?」 「昼飯だよな? その時々で席の近い奴、かな。野村たちみたいにグループ決まってない者同士で適当に」  ふと思いついて訊いた郁に、大雅は少し考えて口を開く。 「あー、そういや大雅って『いっつもコイツといる』みたいのなかったような」  決して敬遠されているとか、ましてや嫌われているということはなかったが、大雅はクラスでもどこか一目置かれていて、逆に特別親しい友人はいなかったような気がした。 「郁は(せき)とか塚本(つかもと)とかと食べてた、よな?」 「ん~、教室で食ってた時はね」  名の挙がった彼らとは確かに共に過ごすことは多かったが、あくまでも学校での付き合いでしかない。休み時間に雑談したり、それこそ昼を一緒に食べたりする程度だったのだ。メッセージを交わすくらいはしても、校外で会うようなことはなかった。  夏休み中にも、ほとんど連絡を取り合ってさえいない。決裂したわけでもなんでもなく、二学期になって学校で会えば当然のように挨拶も会話もする。ごく普通のクラスメイトだ。  郁は今まで、友人とはそういう関係しか築いて来なかった。所謂『親友』を渇望したこともない。  すべてさらけ出すことができない以上、誰であろうと警戒せずにはいられないからだ。  深入りは、したくない。……怖い。  そこから逸脱したのは、大雅が初めてなのだ。
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