トモダチ、以上?

20/26
前へ
/26ページ
次へ
 学校は休日となる土曜日、いつもの如く約束して二人で過ごす。 「……初めて見たときはさ、すげー可愛い顔してんな、コイツと思ったんだ。ゴメン」  ふと会話が途切れた合間に大雅が唐突に口にした台詞に、郁は首を(かし)げた。 「なんで謝んの? まー、確かに可愛いって言われて喜ぶわけじゃないけど、イヤミじゃなきゃ褒め言葉としてフツーに聞くよ?」  郁は身長は平均あるかないかで、顔立ちも「格好いい」より「可愛い」と言われることが圧倒的に多い。  クラスでも目立つほど大柄で、いかにも硬派な風貌の大雅から見ればなおさらだろう。 「郁って自分に自信あるんだろうな。だから他人の評価とか気にならないのか」  感心したような大雅の声に、郁は苦笑した。 「まさか。自信なんかじゃなくて、俺は自分を知ってるだけ。背が低いのも男らしい顔つきじゃないのも、考えたってどうにもなんねーし。だったらグズグズ悩むより開き直った方が勝ちじゃん?」 「でも、そういうとこが……」  何やら口の中で呟いていた彼が、すっと顔を上げて郁の目を見つめた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

122人が本棚に入れています
本棚に追加