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「俺がそういうナナメの気遣いするかどうかくらい、もうわかってんだろ?」
大雅の台詞を、郁は平然と笑い飛ばす。
「そうだよな。──で、もっと世界観に浸りたい、って言ったら大袈裟かもしれないけど。モデルになってる時代背景とか衣装とか興味出て来ちゃって。調べたら、そういうのって俺が簡単には買えないような豪華本? も多いみたいなんだ。でも、せっかくならちゃんとしたのが見たいし」
「あー、わかる。特に図鑑だか図録だかよく知らないけど、絵とか写真がメインのやつだと、もうはっきりコストの差がわかるっつーか。自分でぱっと買えるレベルのじゃ物足りないんだよな」
「そう! だから図書館なんだけど。郁、やっぱ話通じるなぁ」
大雅も郁も「読書家」「読書が趣味」とまでは言い切れない。それでも読まない人間は文字通りまったく読まないのを知っているので、相対的には読む方に入るのだろう。
これも、二人の共通点のひとつ。
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