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今日、学校で。終業式の後のホームルームでの出来事だった。
「はいはい! 先生!」
クラスのムードメーカーでもある前川 建太が真っ直ぐ手を上げて発言機会を求める。
「なんですか? 前川くん」
「先生、結婚するってホントですかぁ?」
八木に指されて、前川が明るいよく通る声で新情報を暴露した。
「あ、はい。よく知ってますね。……他の先生に聞いたんですか?」
すんなり認める担任である八木 遼一郎の、少し照れたような表情。
「そうでーす。山本先生なんですけど、『八木先生、休み中に結婚式挙げるんだ。なんかいいレストランなんだって! ご馳走出るよな!? おれ、呼ばれててさぁ』って、すげー楽しみにしてましたよ~」
「やまもっちゃん、子どもかよ……」
「八木せんせー、おめでとー!」
二人のやり取りを端緒にざわつく教室の中で、郁はまさしく寝耳に水の話にただ呆然としていた。
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