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譜面のタイトルは……『君と僕の故郷』。
栞の中から、何かか溢れ出した。
ずっと閉じ込めたままの心の声。
広げてみたらまっさらな世界の音と、マコトの心の声に重なって、栞の胸に風穴があいたような清々しい空気が吹き込んだ。
空も、海も、木々も。見慣れたいつもの風景が、ビビットな夏色を帯びて初めて見るような真新しさで輝いた。ありがとう、今日は故郷の生まれた日。
真昼の太陽が、スポットライトより強く照らす中、栞は心を込めて歌いあげる。
遮るもののない空が、今なら手に届くようだった。
<了>
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