第75話 琥珀色のメモリー~続・とある猫のお話~ (テーマ『猫』)

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 そして、ついに餌を食べなくなりました。 「もしその時が来たら……使ってください」、全ての治療を諦めたお医者様が、一つだけ処方してくれた薬に、私と父母はすべての望みを賭けました。  すると驚いた事に、薬を飲んだ君から、病の影が遠ざかったようにまた元気に食事をとるようになりました。  時計の針が戻った奇跡に、お医者様は初めて話してくれました。 「……あの薬は、ただの人間の風邪薬なんです」  それが猫には一時的な気付けの薬になる……最初に言っても信じてもらえないので、お医者様は黙っていたのでした。
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