102人が本棚に入れています
本棚に追加
「ママ、わたし~。カギ開けてよ」
わたしはインターホンでママとおはなししながら、笑って遼くんに右手をふった。
遼くんも「またな」って口うごかして、同じようにふりかえしてくれる。
「ありがと。ただいま~」
「おかえり、愛ちゃん。お友達と遊んでたの? 遅くなるときは、必ず前もってママに知らせてって約束したでしょ」
「……ゴメン。おとなりにいたの」
ドアを開けてくれたママのこわい顔に、わたしはすなおに謝る。
今日は『きんきゅうじたい』だったから、朝には言えなかったんだよ。
だけど、約束やぶったんだからいいわけなんかしない。だってわたし、もう三年生なんだから。
「あら、そうだったの。じゃあ今度お礼言っとくわ」
ママは急に、声も顔もやさしくなった。
「うん。おねがい」
いつもママには、よそのおうちに遅くまでおじゃまするのはダメって言われてる。
あと、五時にはぜったい帰って来なさいって。
最初のコメントを投稿しよう!