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「ママ、わたし~。カギ開けてよ」  わたしはインターホンでママとおはなししながら、笑って遼くんに右手をふった。  遼くんも「またな」って口うごかして、同じようにふりかえしてくれる。 「ありがと。ただいま~」 「おかえり、愛ちゃん。お友達と遊んでたの? 遅くなるときは、必ず前もってママに知らせてって約束したでしょ」 「……ゴメン。おとなりにいたの」  ドアを開けてくれたママのこわい顔に、わたしはすなおに謝る。  今日は『きんきゅうじたい』だったから、朝には言えなかったんだよ。  だけど、約束やぶったんだからいいわけなんかしない。だってわたし、もう三年生なんだから。 「あら、そうだったの。じゃあ今度お礼言っとくわ」  ママは急に、声も顔もやさしくなった。 「うん。おねがい」  いつもママには、よそのおうちに遅くまでおじゃまするのはダメって言われてる。  あと、五時にはぜったい帰って来なさいって。
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