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【1】
「ねー、カギ落としちゃったぁ」
「え!?」
インターホンを押したわたしの言葉に、マンションのとなりに住む遼くんはびっくりしたみたい。
ガチャってインターホン切って、すぐに玄関まで走って来た。
「鍵って、それ大変じゃないか。どこで落としたかわかる?」
ドア開けた遼くんはすごく心配そう。
「わかんない。ランドセルに付けてたピーって伸びるの、さっき家に入ろうと思ったらなかったんだよ~。わっかが外れちゃったみたい」
「ピー、って。……ああ、リールキーホルダーか」
困った顔のわたしに、遼くんは家に上がるように言ってくれた。遼くんなら追い返したりしないと思ってたけど、よかった~。
「ありがとー」
遠慮とかしないで、平気で靴を脱いでるわたしに、なれてる遼くんは別に怒ったりしない。
「愛、部屋で待ってて」
廊下の途中にある遼くんの部屋の前。
ドアを開けながら声掛けられて、わたしはうん、て返事する。
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