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だからちょっとでも遼くんと一緒にいられるように、こういうチャンスは大事にしないとね。
「愛、最近はいろいろ物騒だから気をつけろよ。母さんも基本家に居るけど、今日みたいに出掛ける日もあるし。俺はほとんどこの時間には居ないんだからさ」
きょうは木曜日。
週に一回だけ、サークルもアルバイトもなくて遼くんが夕方に帰って来る日。
他の予定が入ることもあるみたいだけど、毎日遅いと大変だし木曜はできるだけフリーにしてるって前に言ってたから。
「わかってる、ごめんね。でも、遼くんがいてくれてよかったぁ」
「それにしても、キーホルダーに名前なんか書いてないよな?」
思い付いたみたいに訊かれて、わたしは堂々と答えた。
「当たり前じゃない。ママに、『落とした時に家がわかるのはあぶないからダメ』って昔っから言われてるもん。わたし、小学校入ってからずっとカギ持って学校行ってるんだよ」
「そうだな。愛んちの小母さんなら、そういうのはきちんとしてるか」
ほっとしたみたいな遼くん。
心配してくれてる、ってことだよね? それはうれしい、けど。
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