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冷たい水を思いっきりバシャバシャと顔にかけてみる。
けれど、泣いた後の様に赤く充血した目は大して変わらなかった。頭の奥の方が何だかチカチカして痛い様な重い様な変な感じがしている。
昨日の夜から林さんと本田さんはずっと仲良さ気に二人で何かコショコショと喋っている。
私は何だか体がフワフワとどこかへ流されて行きそうになりながら、一階の食堂へと向かった。
食堂にはもう殆どの生徒が集まっていて、香織ちゃんも先生と一緒にテーブルについていた。
香織ちゃんは何を考えているのかわからない様な視線を、窓の外から見える黒々とした大きな山に向けている。
私は昨日の夜も殆ど食べていないというのに、朝ご飯もあまり食べる事ができなかった。
「香織ちゃん大丈夫だった?」
食べ終わった食器を片付けながら私は香織ちゃんに声をかけた。
「何が?」
そう言って振り返った香織ちゃんの表情からは昨日のお仕置きの恐怖だとか、後悔だとかは全然見受けられなくて、持っている食器も全部空っぽになっている。
お腹の芯の方からフツフツと泡の様なものが湧いてきて、大きな塊となって私の口から溢れ出てくるのを感じた。
「香織ちゃんなんて大嫌い!」
私がそう叫ぶと、香織ちゃんのいつも真っ直ぐに向けられている大きな目がほんのちょっとだけ曇って見えた様な気がした。
それでも私は乱暴に食器を片付けると、それ以上何も言わずに食堂を飛び出していってしまった。
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