悲観主義の人間たちと到着列車

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人は何故こうも赤の他人の話が好きなのか理解できない。いちいち干渉して何になるというのか。それも死んだ人間の話を。 けれど人間はいつなにに走るか分かったものじゃない。周りの環境が良ければ良いほどに自分は狂う。悪ければ悪いほどに壊れていく。 どちらも正解ではない。 「怖いよね。うちらと同じ歳なんだって」 「うわーこわっ。自殺とかマジ止めて欲しいよね。帰るの遅くなるじゃん」 自殺に年齢は関係ない。誰もが生きる意味を簡単に見つけられるわけではない。加害者も被害者もない。死体が出るだけだ。 「でさ、思ったんだけどこの子寂しかったんじゃないかって」 「ん?どういう意味?」 「わかんないけど、なんか可哀想」 少年は耳にヘッドホンを付けた。 周りの声が聞こえないように。それからは音楽に集中した。 そして光が見えたとき黄色い線を跨ぎホームから足を落とした。
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