コフィン・ダンス

12/13
前へ
/13ページ
次へ
*** 8月末、全国の学生たちが夏休みを終える頃、世間はとあるニュースで持ちきりだった。 連日同じニュースが朝夜問わず流れ続けた。 「いや…。こんな事件が起こるなんて…。ちょっとなんてコメントしていいか…。」 報道番組のコメンテーターが、口に手を当て黙り込む。 その様子を見て、アナウンサーは「吸血鬼__女子小学生殺害事件の全貌」と題されたフリップの新聞記事を続けて読み上げた。 「重度の光線過敏症だった犯人はさらに重い精神疾患も抱えており、自分のことを’吸血鬼’だと思い込んでいたと言います。」 「近隣住民の証言で、被害者である少女ウミちゃんが犯人の自宅に何度も通っていたことが分かっています。誰もその違和感に気付けなかったこと…一体何故なのでしょうか。」 「全眼のカラーコンタクトも、光線過敏症による皮膚の焼け跡も、…幼い少女が信じるには十分な’吸血鬼の証’だったのかもしれません。」 「犯人は…生きたままのウミちゃんの首を噛みちぎり、ウミちゃんは出血が原因で亡くなりました。血液が吸い尽くされた遺体は、死後1週間が経った状態で発見されました。」 「ウミちゃんの身体からも犯人の身体からも抵抗の跡は見られず、自分から身を捧げたという犯人の証言が正しいことが見受けられます。」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加